大判例

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東京地方裁判所 昭和30年(ワ)6700号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔事実と判断〕ナイロン製トリコツト靴下等の製造販売を業とする原告会社は被告鈴木を被告玉置の身元保証の下に販売員として雇入れ販売に従事させたところ、被告鈴木の不正行為によつて百三十万円の損害を受けた。そこで原告は被告玉置に保証契約の義務の履行を求めたところ、被告玉置は原告につぎの諸点に於て監督上の過失ありとして賠償額の減額を求めた。

(1)販売員が新規に開拓した取引先については監督者に於て一応調査すべきである。原告はこれを怠つたため架空の取引先のあることを発見できなかつた。

(2)販売員の不正を毎年五月、十一月の決算期に不注意にも原告の不正を看過した。

(3)原告は昭和二九年一一月頃その製品が格安に市販されていることを聞知し乍ら原因を究明することを怠つた。

判決は被告の主張を容れつぎのとおり説明している。曰く。

「被告鈴木の給料は固定給として月額金八千円の外売上の二歩を支給する約束であつて、同被告が生活費その他を賄うにはどうしても売上高を増加する以外になかつたこと、ところが一方原告は新入の販売見習たる被告鈴木をその責任で正規の販売員同様の仕事に従事させ乍ら同被告が新規に販路を開拓しても格別の調査をすることもなく、総じてその販売方法乃至集金状況等につき監査を行う等不正発見の措置を講じた形跡がないこと、その結果被告鈴木が前記認定のように商品又は集金を着服しても容易に発見することができず、殊に昭和二十九年十一月の決算期には既に同被告の不正があつたに拘らず売掛代金が若干遅延しているものと誤解し、又同年十二月の棚卸し時期には在庫数量不足が右被告の行為によることを発見し乍らその弁解を軽信し逆に事態を究明するに至らなかつたことが認められ、右認定の事実によれば原告の前記損害は使用者たる原告の監督上の過失にも一半の原因があるものと考えられる。何故ならば販売員を使用して商品の販売をなす者としては給料の歩合制をとるような場合販売員の販売方法乃至集金状況につき厳重な監査を行わないならば、えてして販売員の不正が生じ易いことに留意し不正防止のため適切な措置を講じるのが当然であつて、これを怠るならば不注意の議は免かれ難いからである。そこで裁判所は本件損害の発生につき原告の監督上の過失の成立を認め、その他本件口頭弁論に顕れた諸般の事情を斟酌し被告玉置の損害賠償の額は金五十万円を以つて相当と考える。」(筆者註被告鈴木の不法行為による損害額は金百三十万円)

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